Wednesday, February 15, 2006

殺人事件

とほい空でぴすとるが鳴る。
またぴすとるが鳴る。
ああ私の探偵は玻璃 (はり) の衣裳をきて、
こひびとの窓からしのびこむ、
床は晶玉、
ゆびとゆびのあひだから、
まつさをの血がながれてゐる、
かなしい女の屍体 (したい) のうへで、
つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。

しもつき上旬 (はじめ) のある朝、
探偵は玻璃の衣裳をきて、
街の十字巷路 (よつつじ) を曲つた。
十字巷路に秋のふんすゐ。
はやひとり探偵はうれひをかんず。

みよ、 遠いさびしい大理石の歩道を、
曲者はいつさんにすべつてゆく。

(萩原朔太郎 『月に吠える』)

Thursday, December 22, 2005

浮島 武川忠一・作

雪つもる小さき浮島いくつもの七島八島凍りたる沼

ゆくりなく浮ぶまぼろし少年の登りきて見し雪 七十年前

友につれられ何ゆえ来しか鎌が池まこと鋭し鎌の形の

しーんとただ山の音する鎌が池きさらぎの沼の恐ろしき音

何ゆえに冬の一日をゆきし沼夢かも知れぬ身力(みぢから)ありき

(短歌研究 2005年6月号より抜粋)

Thursday, September 29, 2005

明恵上人

山のはに
われも入りなむ 
月も入れ
夜な夜なごとに
また友とせむ

京都栂尾高山寺 明恵上人

この寺、光仁天皇(志貴皇子の子)の勅願による創建で、上人が再建されたとか。

Originally Posted by Nakk

Thursday, September 22, 2005

赤子の見る秋月

あかあかや
あかあかあかやあかあかや
あかあかあかやあかあかや月

明恵上人

秋だねえ

み吉野の 山の秋風 小夜ふけて
ふるさと寒く 衣うつなり

歌謡曲みたいで好きです。参議雅経。
Originally Posted by Urax

もう2首続けて.....

夕月夜 心もしのに
白露のおくこの庭にこほろぎ鳴くも

湯原王 万葉集 巻八

にはの海や月の光のうつろへば
浪の花にも秋は見えけり

藤原家隆 新古今和歌集 秋上
忘備メモ:にはの海=琵琶湖

Monday, September 12, 2005

秋の和歌 百人一首より

秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ
我が衣手は 露にぬれつつ
天智天皇 後撰集

八重葎(やえむぐら)しげれる宿の さびしきに
人こそ見えね 秋は来にけり
恵慶法師 拾遺集


夕されば 門田の稲葉 おとづれて
蘆のまろやに 秋風ぞ吹く
大納言経信 金葉集

Wednesday, August 17, 2005

連続鎖

生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、
   死に死に死に死んで死の終わりに冥し
      空海 「秘密曼荼羅十住心論」より 

暗きところから出でて冥きところに逝く。
そしてまた...生まれ変わり、死に変わり、
そしてまた...生まれて生きる。そして戻るべきところに戻る間に、

なんとまあ、いろいろなことをして、いろいろなことを思って、
いろいろなことを得て、いろいろなことを捨てるものだろうか。
裸一貫で生まれて、裸一貫で死ぬのだから、ほんとうは何を纏おうが、何を付けようがいいのではないだろうか。

泣いて生まれたのなら、にっこり笑って死にたいものだ。
[See you sometimes,somewhere again]とか言いながら...

Tuesday, July 19, 2005

野路の玉川

その昔、源俊頼が詠める、

明日も来む
野路の玉川萩越えて
色なる波に月宿りけり

詩は、文学の一形式。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A9%A9
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
詩より抜粋


詩 (し) は、文学の一形式。
多くの地域の文学で非常に古い起源を持つ。韻律などの形式に従い(あるいは形式に従わないという形式に従い)、感動や叙情を記したもの。多くは韻文だが例外もある。

印刷技術が普及してから多くの詩は活字で提供されることになったが、もともと韻文を朗読、あるいは節を付けて歌うことは普通に見られることだった。(中略)

詩は、感動や叙情を中心に記されるため、一般的に散文よりも短い。よって、効果的に感動や叙情を表現するための、表現上の工夫(修辞技法)が多く見られる。